戦力差は明らか。それでも今治は堅守で“巨人”に立ち向かう

ＪリーグYBCルヴァンカップ1stラウンド２回戦よりＪ１クラブが登場。ついに現れる“本命”の参戦で大会はさらに熱を帯びること必至の状況だ。

今治里山スタジアムを舞台に争われる２回戦は、昨季のＪ１覇者の神戸と、今季悲願のＪ２昇格を目指す今治が対峙する。Ｊ１チャンピオンチームとの対戦にホームタウンである今治は試合前から熱気が増している。我が街で繰り広げられるスター選手たちとのガチンコ勝負に観戦チケットは早々に完売し、いまや遅しとそのときを待ち構えている。

Ｊ１タイトルホルダーとして初めてのシーズンに挑んでいる今季の神戸。明治安田Ｊ１第２節は柏の一撃に沈んで早々に黒星。しかし、その後は第５節・札幌戦で６ゴールを奪って大勝を収めるなど、Ｊ１王者たる貫禄を見せながら順調に勝点を積み上げてきた。第７節では昨季Ｊ１優勝を争った横浜FMと対戦し、お互いが持ち味を出し合う激しいつば迫り合い。どちらに勝利が転がり込んでもおかしくない大熱戦の結末は、終盤にGK前川 黛也が退場になったことが影響して悔しい敗戦に終わったが、今季もＪ１優勝争いの中心で戦える力を証明した試合とも言えた。

13日に行われたリーグ前節は、今季開幕から旋風を巻き起こしている町田とアウェイで対戦。横浜FM戦で負傷したエースの大迫 勇也を欠く中、相手のフィジカル攻勢をクレバーにいなしながら効率的にカウンターで好機につなげ、難敵を攻略してみせた。

対するホームチームの今治は、Ｊ３参戦５年目にして最高のスタートを切った。今季よりチームの指揮を執る服部 年宏監督の下で開幕を迎えた新チームは、第１節・鳥取戦での快勝を皮切りに破竹の４連勝でリーグ戦首位へ浮上。その直後、攻撃陣の不振により第５節・岐阜戦、第６節・北九州戦で続けて星を落としたものの、攻撃の歯車がかみ合い始めるとチームはすぐさま復調を遂げ、第９節・宮崎戦、第10節・八戸戦のアウェイ連戦をモノにして再び首位戦線へ加わろうとしている。

カテゴリーが２つ下の今治がホームで“巨人”に立ち向かう形となるが、中３日でこの試合を迎える神戸に対し、今治は中２日とコンディション面でもややタフな戦いを強いられる。Ｊ３としては異例の４人の外国籍選手を有し、同カテゴリーでは個の強みを出せる今治だが、桁違いの人件費を誇る神戸との戦力差は明らか。お互いに幾分かのターンオーバーをして臨むことも予想されるが、いずれにしても神戸優位な立場は揺らぎそうもない。

高い位置から仕掛ける神戸の高強度の守備、そしてそこからのカウンターは容赦なくホームチームを苦しめてくるはずだが、今治は今季開幕当初から見せている組織的で堅実な守備で我慢強く対抗できるか。その上で、好機とあらばスピードとバネのあるエース・マルクス ヴィニシウスにボールを集め、そこで突破口を切り拓くことで勝機を見いだしたい。

１回戦でも各会場でさまざまな下克上が繰り広げられたように、今治も挑戦者としての高まるモチベーションを武器にし、全身全霊をかけてビッグサプライズを狙いにいくだろう。